外国為替証拠金取引(FX)の基礎知識

外国為替取引の用語集

外国為替投資の用語集






『個人マネーがより金利の高い海外資産に向かい、活発化する個人の外国為替証拠金取引と合わせて円売り圧力を形成し、為替相場の決定要因になっている』

という趣旨の報道をよく目にします。
しかし、国際収支や対外証券投資データを見る限り、円安を正当化するような日本からの大量資本流出の事実はないばかりか、むしろ日本に向かってマネーが流入している構図になっています。

データと現実の円安相場のギャップを埋める鍵は、膨らむ投機マネーの存在にあるようです。

国際収支統計によれば、
2006年は日本から直接投資の形で海外に6兆5962億円の資本が流出。
2005年は4兆7400億円の流出超。

一方、証券投資は15兆1615億円の流入超で、2005年の1兆0700億円の流出超からは様変わりしています。  

直接投資と証券投資を合計すると、2005年は5兆8100億円の流出超ですが、2006年は8兆5653億円の流入超(黒字)であり、為替のインプリケーションは明らかに円高。  
さらに上記の投資収支関連の黒字に加え、昨年は貿易・サービス収支の黒字が7兆3338億円、所得収支の黒字が過去最高の13兆7449億円となった結果、経常黒字は19兆8390億円で過去最高を記録。

資本が流入超であるにもかかわらず、オーバーオールで円安になるということは、バブル的に膨張する投機マネーの存在があり、それが実需からくる円高圧力を飲み込んでしまっているということではないでしょうか。

2007年に入ってからも資本が日本に流入する傾向は変わっておらず、実需の円買い需要は健在。  
財務省の対外対内証券投資のデータによれば、日本の居住者は2007年1月に海外株式、中長期債、短期債を合わせて4066億円、2月には1兆5380億円売り越している。つまりそれだけの資本が日本に還流していることになります。  また、非居住者(海外投資家)は日本株、中長期債、短期債合わせて1月に3兆7753億円、2月に3兆1458億円買い越しています。居住者、非居住者の資本の出入りをネットでみると、1月は4兆1820億円、2月は4兆6838億円が日本に向けて流れ込んでいます。これらネットの金額の全てが円買い需要を生み出すわけではありませんが、少なくとも円売りを実需面から正当化する数字は見当たりません。 それでも円安トレンドは続いています。




外国為替相場における「個人」のチカラとは

最近の円安トレンドを説明する際、個人の外債投資や外為証拠金取引の拡大を引き合いに出すエコノミストやストラテジストは多いです。  
実際、投信や預金、債券などを合わせた個人の外貨資産残高は2006年末で約40兆0300億円に膨らんでいます。  
2月末の世界連鎖株安時にドルが116円台に下落した際には、国内の金融機関、証券会社はいっせいに外貨建て投信を設定・販売し、顧客への売れ行きが良かったといいます。

個人投資家の間では、これ以上の円高はないという認識が浸透しており、116円台では外貨建ての投資をしたいという顧客が多いという見方ができます。  

一方外貨建て資産が残高ベースでいくらになったというのは、相場を見る上ではあまり意味がなく、投信であれば満期になるものもあるはずで、一時点の残高が相場を左右することはありえないともいえます。  

国際収支統計はクロスボーダーの取引全てが計上され、いうまでもなく個人の取引も網羅しています。個人の外貨建て投信購入がどれほど活発であっても、トータルで見て、日本から出て行く資本より日本に入ってくる資本が大きいという事実は変わりなく、個人投資家の相場への影響力を過大評価することは全体の外国為替相場を見る上では控えるべきでしょう。

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